私にとっての幸せ、あなたにとっての幸せ

価値観はいろいろ

高校の現代文の授業で「北の貧困/南の貧困」という評論文を読んだ。北(先進国)における幸福が、南(発展途上国)においても幸福なのか、疑問を呈す文章だったと思う。特に疑うこともなく、発展途上国を「先進国が援助してあげるべき存在」と認識していた当時の私にとって「自分にとっての幸せが他の誰かにとっても幸せとは限らない」という事実は衝撃的だったのだろう、今でも価値観や幸せについて考えるとき思い出す。

大学時代は留学したり、留学生受入の寮に住み込みで働いたりしたので、半年くらいの周期で新しい人との出会いがあった。合う合わないは当然あるので議論や口喧嘩もしながら、色々な価値観に触れていた。

しかしここ数年、あまりに固定的な環境の中にとどまり過ぎ、いつしかmaterialistic(今知っている言葉の中では割と近い気がしてとりあえずこの単語を使ってみるけれど語感とか違ったりするかもしれない)な価値観に感覚が麻痺し、私自身の「幸せ」や「成功」が何だったか、忘れかけていた。話す度に刺激を受けるようなキラキラした人たちの中で、彼らを尊敬し憧れるあまり、彼らがしそうな意思決定や彼らが持ちそうな感情を無意識に真似ていたのかもしれない。社内社外でネットワーキングする努力を惜しまず、最新のビジネス書を片手にストイックに上を目指し、プライベートの記念日には有名レストランで写真を撮る…いつしかそんな生活を理想だと思い込み、それを叶えられそうにない自分の生活を否定するようになっていた。

だけど本来、私の価値観はそういうものではなかったはずなのだ。書店に並ぶ「●●流、●●の力」「成功するための●つの●●」みたいなビジネス書に心は惹かれないし、身の丈以上の高級店で記念日を祝うことにも憧れはない。大学の時点で「自分はそういう港区とか東カレみたいな生き方はできないし、そんなにしたいとも思わない」と自覚したはずなのに、ここ数年またそういう生活が自分の目指すべきものかのような勘違いをしていた。そして叶いそうにない理想と現実のギャップに引け目を感じていた。ある価値観の中で上手くやっていけないなら、さっさと違う価値観を是とする場所に行けばいいのに、ここ数年の固定した環境の中で、合わないことにも気付かなかったし、他の軸の存在も忘れかけていた。

北欧の人みたいに幸せになる方法

幸せの種類が沢山あることを身をもって学んだのは北欧に留学したときだった。今もそうだが当時「世界の幸福度ランキング」の上位に北欧諸国の名前を見ることが多く、ある時その要因をローカルの友人に尋ねた。「人生にそんなに期待してないから」という答えが返ってきた。幸福感とは期待値と現実の差分であり、現実を充実させるだけじゃなく、期待値をコントロールすることでも幸福感は大きくできるという考え方は自分の中でのプチパラダイムシフトというか新しいもので、驚いた。

私が北欧で過ごしたのは1年弱の短期間だが、それでも幸福感が増す感覚を少し味わうことができた。特に冬。朝8時なのに登校時はまだ太陽が出ておらず、授業が終わる15時は既に日没後で真っ暗。更に物価が高いので東京のように買い物や外食することもできない。一見、すごく不幸な気持ちになりそうなものだが、そういう状況では「小さなハピネス」の効力がいつもより倍増し、小さなきっかけですごく幸せな気持ちになれるのだ。「今日も暗いなか起きて大学に行った！」だけで「自分偉いね〜ヨシヨシ」という気分。一瞬でも太陽が顔を出そうものなら、嬉しくてたまらず近所の小川を散歩した。料理好きな中国出身の友人が、寮でうどんを打って(!)振る舞ってくれた。一人ぼっちで歩いていたら大学構内のカフェの兄ちゃんが話しかけてくれて、顔を覚えてくれた。…こういう小さな嬉しいことで幸せな気持ちになれて、その積み重ねで日々乗り越えていった。

それが今やどうだろう。就職して自分の好きに使えるお金が増え、心から欲しいわけでもないインスタで見た商品を買ってみたり、人気のスイーツを食べたり、物質的に満たされているのは間違いない。それなのに「幸せだなあ〜」としみじみ感じる頻度は格段に少なくなった。期待値だけがどんどん上がり、「自分の人生、何かつまらないんだよな〜」とモヤモヤすることが増えた。

大事なものってなんだろうね

最近、韓国ドラマの「海街チャチャチャ」を見ている。都会でバリバリ働いていた歯科医の女性がある海街で開業し、その街の青年と恋に落ちる話だ。女性は都会でそれこそmaterialisticな生き方をしてきた一方で、青年は小さな町で休みたい時に休みながら、人々を助けて生活している。二人の価値観はしばしばぶつかるのだが、その対比に留学中のスローな自分と、東京での自分をどこか重ねて見てしまう。

歯科医が「この学歴でなぜこんな生き方を？真面目に努力した分成果を得なきゃ」というのに対し、「視野が狭すぎる。だからダメなんだ。カネや成功以外にも価値のあるものは多い」と青年が返すシーン(エピソード5)がある。歯科医にとって「成果」は数字であり、高い低いの直線上を目盛りが行ったりきたりしているのだろう。だけど、一つの直線上に引かれた目盛りの上か下かによって人生の価値や良し悪しが決まるわけではないし、ある定規では「低」でも別の定規で見ると「高」だったり、そもそもどんな定規でも測れない可能性だってあるかもしれない。今いる場所の価値観の中で目盛りが「高」じゃないからって人生終わりなわけじゃない。合わない定規でやみくもに「高」を出そうともがくより、これだ！という定規を見つけることに力を注いでいきたいものである。

なれたかもしれない自分｜Recognizing Possible Self

*English follows*

「やりたいことがわからない」

学生時代からこのセリフを何度言ったかわからない。迷ったら「将来の幅を狭めない選択肢」をとり続けた私は、モラトリアムをできる限り引き伸ばし、転職に困らない市場価値を身につけられる場所かどうかを基準に就職先を選んだ。

入社から数年経過し、次のステップに進む人が増えた。私だって一生ここにいたいわけじゃない、でも行きたい場所がない、と焦り始めたこの頃。どれだけ待っても「私これをやりたい！」なんてものをひらめく瞬間は無さそうなので、別の角度から考えてみることにした。

1. 「なれたかもしれない自分」を集めることと、
2. 息をするようにできる事柄を認知すること。

今日は前者について書きたいと思う。

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なれたかもしれない自分

ここ数年、ときどきSNSを見て苦しくなることがあった。芸能人、インフルエンサー、知り合いなど投稿者は色々だが、共通して「自分もある時点までは似た道を歩いていた気がするのに今はそうではない」姿を目の当たりにすると嫌な気持ちになった。(似た道を歩いていたというのがそもそも自分の思い上がりであると重々承知しているが一旦置いておく)

将来こんな感じだったらいいな、と想像していたけれど気付いたら遠くなっていた理想像。自分も能力はあったはずなのに、傷つくのが怖くて手を出せなかった挑戦。本当は欲しかったのに、存在しないものとしてはなから諦めてしまった選択。…それらを実現している人を見ると、過去の自分がそうなれた可能性も0%ではなかったこと、そこに賭けなかった自身に対する後悔で胸がキュッと苦しくなる。

SNSを見て落ち込むなんて馬鹿みたいと思っていたし、変えられない過去を後悔したり、羨ましさを原動力に行動したりするなんて嫌、と強がってきた。そういう投稿も静かにミュートなり登録解除なりして忘れてきた。

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なれたがしれない自分の欠片を拾い上げる

ふと思った。やりたいことなんて思いつかないなら「なれたかもしれない自分」を一つずつ試し、甘えた期待と苦い後悔を潰していくのもアリかもしれないと。やってできなければ潔く身を引き、別のことに向かっていけばいい。後悔を蓄積しこじらせながら生きていくには、人生は長過ぎる。

そんな訳で「なれたかもしれない自分」が顔を出しがちなInstagramとYoutubeを開き、書き出して一つずつ整理していった。拾い上げた欠片たちを線で結び眺めると、「仕事 and/or 生活の拠点を海外に置くこと」「英語を日常的に使うこと」への憧れを捨てきれていないことに改めて気付かされた。恋愛、子供、大きな家なんかが全く出てこなかったことも含めて想像以上に納得のいく答えだったと思う。

いつかやれればいいな、くらいに学生時代から思っていたけれど、そろそろ本当に動き出さなければ一生後悔することになる、と背筋を伸ばした。

What is my passion?

I’ve been asked this question so many times since when I was a student like others have been. As I didn’t find a clear answer for that, when I am at a crossroads I’ve always picked a choice that does not restrict my options in the future, as well as job hunting which I experiences a few years ago. 

A couple of years have passed and some of my colleagues that joined the company at the same time as me have already left for the new stage of their career. Although I know that this is not my lifetime job, I haven’t found anything else yet. Feeling like I am stacked, I started to think about it from a different perspective; recognizing possible self(Disclaimer: "Possible self" is not used in the meaning of psychology in this post) and finding something that you are good at by nature. This post is about the first one; recognizing possible self.

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Recognizing possible self

Have you had mixed feelings of admiration, jealousy, and regret when you are on social media? I have experienced this feeling in the past few years. Regardless of who posted them, it happened when I think that “That might be me if I did something differently”. Even if I had done things differently I still might not be able to reach that, but who knows. At least I had a possibility, but my tendency to procrastinate, fear of failure, and resignation; all those regrets wrench my heart. I name that "possible self". It's similar to the ideal self, but different because you have let the opportunity go.
I've dealt with the feelings by sometimes muting or unsubscribing them because I think it is worthless to get frustrated by social media. Plus I did not want to let jealous be my motivation and I knew that negative thoughts will come up one after another once I start to think about regrets.

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Collect jealousy and connect the dots

If you haven’t met your passion, how about trying to make “possible self” possible? You never know if that was possible unless you try it, and that dream may suffer you with regrets. Life is too long to keep being hurt by regrets piled up.

I reviewed my Instagram and Youtube, and collected the dots of possible self by writing down 1) on what post I had heartache and 2)why was that. Then I stepped back to see the whole picture. My desire that is not satisfied is to make living outside of Japan and to use English daily. Although I have never said it out loud, it felt very natural for me to feel that way, considering learning and using English are the things that I have been doing for the longest in my life so far. I did not realize that I loved it until now.